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2019年11月28日
至近距離の宇宙 日本の新進作家

 

shinshinsakka

▲写真 齊藤 陽道  「せかいさがし」より 2010年/2018年

会 期 2019.11.30~2020.1.26(日曜)まで

会 場 東京都写真美術館 恵比寿ガーデンプレイス内 Tel: 03-3280-0099

観覧料 一般700円 学生600円 中高生・65歳以上500円

展示作家……作家ステートメントより抜粋

●●●藤安 淳 Fujiyasu  Jun

いままで双子として生きてきたことで向き合わざるを得ないいくつかの問いに改めて直面した。一つは、自身が双子であることを意識する必要があるのか、また一つは、自分と顔が似た存在が、知らないうちに自分として認識され、扱われている世界があることへの恐怖感とどう対峙すべきか。さらには、第三者から幾度となく見比べられるようなまなざしに晒されるなかで、自分の「個」としてのアイデンティティをどのように確立すべきか。

 

●●●井上 佐由紀 Inoue  Sayuki

終わりに向かう祖父の目を見ながら、ふとはじめて光を見る赤子の目を見たいと思うようになった。それから私は30名以上の出産に立ち会い、赤子の目を撮り続けている。

いつかなにも見えなくなるときがきっとくる。 そのときまで、私は新しい光を見たい。

 

●●●斎藤 陽道  Saito  Harumichi

逃れ得ないこの身体、この国、この時代。ここから動けない、それでも、進んでいく、進んでいる。どこへ、内側の奥へ。底へ。底へ。外見上ではなにも変わらないようでいても、その裡では、生老病死に染まりながら、あきらめても、あきらめきれず、それでもなんでかあの果てへと深化していくものがある。

たった一人のおこないが、なんという大勢へと繋がりうるのは、なんという大勢のひとりずつの内側にも「深化するもの」を抱えているからではないか。深化する感動あればこそ、まだ見えざる世界をそれでもなお明るく望もうとする一個人の願いが、光を放ち、無辺へと受け継がれていく。そう信じている。

 

●●●相川 勝 Aikawa  Masaru

スマートフォンで撮影するとき、撮影者はカメラのアイコンを選択して撮影し、スワイプやビンチをしてトリミングをし、フィルターをかけるなど疑似暗室作業を繰り返しイメージを形作っていく。

私はプロジェクターやスマートフォンの光を用いて撮影する。それは私も同じようにカメラを使用となく、デバイスにアクセスする行為のみで撮影をしているといえる。私の作品では被写体が実在しないものが多い。被写体が実在するかなどはたいした問題ではない。なぜならば、私たちは他者がつくりだしたイメージのなかで生活しているからである。

 

●●●濱田 祐史 Hamada  Yuji

2011年3月11日、東日本大震災が起こった。震災後の情報の不確かさに揺れた日常のなかで、メディアから私たちが受信している情報と、目の前にある現実のギャップを感じていた。

しばらくして、山の写真のポストカードが届いた。それを見たとき、美しい山だと思ったと同時に、どこか偽物に見えたことから「写真における山のイメージはわれわれのなかにそれぞれあって、見た人によって想起するイメージは異なるのではないか」と考えた。

作り手の主観で完結する山ではなく、見る人の頭の中に”最初に浮かび上がった山”という意味をこめて、タイトルは「Primal  Mountain」と名付けた。

 

●●●八木 良太 Yagi  Lyota

ひとつのものを見るとき、隣人が同じものを見ていても、同じように見えているわけではない。立体視や、錯覚に関する作品をつくるうちに、そう感じることが多くなってきた。

一般的に、鑑賞者は製作者の見ているものを見ようとする。そういった関係を反転させてみたかったので、特定の色覚を持つ人だけに見える、色覚検査表のパターンを応用して作品を制作してみた。そうすることで、私には見えないものを提示できると思った。赤緑色覚異常のある人は、青色のグラデーションの差を、健常者と呼ばれる人たちより微細に見分けることができるということだ。私には見えない。ずっと豊かな空や海の青を想像すると楽しくなってきた。

 

投稿者 ips_kanri : 12:14
2019年11月16日
山沢栄子 私の現代

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会 期 開催中~2020年1月26日(日曜)まで 10:00–18:00(木・金は20:00まで)  休館日は写真美術館HPを参照してください。 http://www.topmuseum.com

場 所 東京都写真美術館 恵比寿ガーデンプレイス内 Tel: 03-3280-0033

観覧料 一般700円 学生600円 中高生・65歳以上500円

展覧会概要

山沢栄子氏は1899年大阪生まれ。1920年代のアメリカで写真を学び、1930年代から半世紀以上にわたり、日本における女性写真家の草分けとして活躍しました。

当初はポートレートの撮影を主な仕事としていましたが、1980年代には抽象絵画のような写真作品を制作する作家として知られていました。とりわけカラー写真による色鮮やかな写真群は、当時の日本では他に例をみないものでした。

本展では、1970-80年代に手掛けたカラーとモノクロによる抽象写真シリーズ”What I am doing”を中心に、抽象表現の原点をを示す1960年代の写真集、戦前の活動を伝えるポートレートや関連資料などを展示し、写真による造形の実験を重ねることで、独自の芸術表現に到達した作家の歩みをたどります。

また、山沢作品に加えて、本館の収蔵品から、アルフレッド・スチーグリッツやポール・ストランドらの作品も加えて紹介し、1920年代以降のアメリカ近代写真の状況と山沢への影響を探ります。(プレスリリースより転載)

▲ポスター写真は ”What I am doing–No.9″ 1980年。銀色素漂白方式印画 大坂中之島美術館蔵

投稿者 ips_kanri : 20:49
2019年11月07日
山田利郎 写真展 MESSAGE まだ自分の影があるうちに

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●会 期 2019.11.9(土曜)~12.15(日曜)まで 9:00–16:30  月曜休館

●会 場 ミュゼふくおかカメラ館 富山県高岡市福岡町福岡新559   Tel: 0766-64-0550   http://www.camerakan.com

●観覧料(入館料) 一般400円 高・大生200円 中学生以下無料 ●同時開催: 富士フィルムフォトコンテスト入賞作品展 会期 12.15まで 会期中は山田利郎写真展の入館料で観覧できます。

■山田さんのことなど……写真家 高崎 勉氏による推薦のことば。

私が高岡市在住の山田利郎さんと出会ったのは2014年のこと。その作品のレベルの高さに驚きを禁じえませんでした。山田氏は働き盛りのときに大病を患い、喉に障害を持っています。なのに被写体との関係性が成立していて、一体どうやってコミュニケーションをとっているのか不思議でなりませんでした。

のちに、山田氏の撮影光景を目にする機会がありましたが、彼は通りすがりの方に身振り手振りで合図し、シャッターを切っていました。彼なりの対話があるからこそ傑作が生まれるのです。

療養後、奥様の勧めで写真をはじめられたそうですが、人生の折り返し点を過ぎてからこのような才能を開花されたことは、多くのシニア世代に夢を与えることでしょう。

私も撮り手の一人ではありますが、素晴らしい写真家を埋もれさせることなく、多くの方々にご紹介したいとの思いに突き動かされました。たくさんの方々に山田ワールドをご堪能いただきたいと存じます。

投稿者 ips_kanri : 15:26